結論からお伝えしますと、スマホが長時間使えるようになった背景には、リチウムイオン電池そのものの素材改良に加えて、チップの省電力化、ソフトウェアによる電力制御、そして急速充電技術の進歩という4つの進化が重なっています。本記事ではその第一歩として、現在のスマホに搭載されているリチウムイオン電池の基本的な仕組みからご紹介いたします。
現在のスマホには、ほぼすべての機種でリチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)が搭載されています。リチウムイオン電池は、リチウムイオンが電池内部の正極(プラス側)と負極(マイナス側)の間を行き来することで、充電と放電を繰り返す仕組みです。
従来のニッケル水素電池などと比べて、エネルギー密度(同じ重さあたりに蓄えられる電気の量)が高く、軽量・小型化しやすい点が大きな特徴です。1990年代初頭に商用化されて以降、ノートパソコンや携帯電話の小型化を支え、現在のスマホ時代を切り開いた基盤技術と言えるでしょう。
バッテリー性能を表す数値としてよく目にする「mAh(ミリアンペア時)」は、電池が蓄えられる電気の量を示しています。一方、「Wh(ワット時)」は電圧を加味した実際のエネルギー量を表す指標です。同じmAhでも電圧が異なれば実際のエネルギー量は変わるため、より正確に比較する際にはWh表記が用いられます。
最近のスマホでは、3,000〜5,000mAh前後の容量が主流となっています。10年前のモデルが1,500mAh前後だったことを考えると、容量だけでも大きな進化を遂げてきたことがわかります。
リチウムイオン電池には、避けられない「劣化」という性質があります。充電と放電を繰り返すうちに、内部の素材が少しずつ変化し、蓄えられる電気の量が徐々に減っていきます。一般的に、500回程度のフル充放電サイクルで容量が初期の80%程度に落ちると言われています。
また、満充電状態や完全放電状態で長時間放置すること、極端な高温・低温環境での使用も、劣化を早める原因となります。これらは素材レベルの特性であり、現在の技術でも完全には避けられないため、メーカー各社は劣化を遅らせる工夫を重ねているのが現状です。
特にiPhoneでは、バッテリーの劣化状況を「バッテリーの状態」から確認できるため、交換タイミングを把握しやすい点も特徴です。以前、愛知県へ旅行した際に同行者のiPhoneバッテリーの減りが急に早くなり、iPhone修理名古屋店に相談したことがありましたが、劣化状況の確認方法や交換目安について詳しく説明してもらえたのが印象的でした。
続く第2回では、こうしたリチウムイオン電池の性能を底上げしてきた「素材レベルでの改良の歩み」について、正極材・負極材・電解液・セパレータの観点からご紹介いたします。