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Materials

素材レベルでの
改良の歩み

正極材・負極材・電解液・セパレータ。リチウムイオン電池の中身は、それぞれのパーツが地道に改良されることで進化を遂げてきました。

テーマ
Battery Materials
章番号
Entry 02 / 05
主要キーワード
ニッケル / シリコン負極
レベル
中級

第1回では、リチウムイオン電池の基本的な仕組みと、容量・電圧・劣化といった性質についてご紹介しました。本記事では、その電池の性能を底上げしてきた「素材レベルでの改良」について、正極材から順に見ていきます。

正極材の進化

リチウムイオン電池の性能を左右する重要な要素が、正極(プラス極)に使われる素材です。初期のリチウムイオン電池ではコバルト酸リチウムが主流でしたが、その後、ニッケルやマンガンを組み合わせた素材へと進化が進みました。

ニッケルの比率を高めた素材は、同じ大きさでもより多くの電気を蓄えられる特徴があります。一方で、製造の難易度や安全性の確保といった課題もあるため、各メーカーが安定性とエネルギー密度のバランスを取りながら開発を進めてきました。スマホ用の小型バッテリーでも、こうした素材の進化が容量増加の一因となっています。

「安定性とエネルギー密度のバランスを取りながら、メーカー各社は素材の改良を重ねてきた」

負極材の改良

負極(マイナス極)には、長らく黒鉛(グラファイト)が使われてきました。近年では、シリコンを少量加える「シリコン添加負極」の採用が進みつつあります。シリコンは黒鉛よりも多くのリチウムイオンを蓄えられる特性を持っているため、エネルギー密度向上の有力な手段とされています。

ただし、シリコンは充放電の際に体積が大きく変化する性質があり、そのままでは劣化が早まる課題があります。各メーカーはこの課題を解決するため、シリコンの添加量や構造を工夫しながら、実用化の幅を広げてきました。

電解液の進化

リチウムイオン電池の内部では、リチウムイオンが「電解液」と呼ばれる液体の中を移動します。電解液の組成も性能を左右する重要な要素で、低温環境での性能維持や、安全性の向上を目指した改良が続けられています。

セパレータの役割

正極と負極の間を仕切る「セパレータ」と呼ばれる薄い膜の改良も、安全性の向上に寄与しています。セパレータは、内部で正負極が直接触れて発火することを防ぐ重要な部品で、より薄く、より丈夫にする技術開発が進んできました。これにより、同じスペース内でより大容量の電池を作りやすくなったと言われています。

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素材レベルの進化が容量を底上げしてきた一方で、スマホのバッテリー持ち改善には、電池そのもの以上に大きな影響を与えてきた要素があります。続く第3回では、CPUや通信チップ、そしてOS側の「省電力化」についてご紹介いたします。